進路に悩んでいる高専生にも悩んでいない高専生にも

マイナー中のマイナー。文系高専生のちょっと変わった実態に迫る。

初めまして。山本ひかると申します。私は富山高専の国際ビジネス学科という”文系学科”に所属しています。

「え?高専なのに文系なの?」「高専って工学を学ぶんじゃないの?」と思った方もいるかもしれません。

実はあるんです。全国高専57校のうちたった3校だけ文系学科が存在します。福島高専のビジネスコミュニケーション学科 、宇部高専の経営情報学科そして富山高専の国際ビジネス学科です。

今回は知られざる高専の文系学科について、私の所属する国際ビジネス学科を通してご紹介していこうと思います。


まずは私の通っている富山高等専門学校について少し説明しようと思います。

富山高専は、射水キャンパス・本郷キャンパスの2つのキャンパスがあり、私の通っているのは射水キャンパスです。射水キャンパスには電子情報工学科、商船学科そして私が通っている国際ビジネス学科の3学科があります。

国際ビジネス学科に加え商船学科まである、なんとも特色豊かなキャンパスなんです。高専の中では珍しい文系学科のため、県外からの学生も比較的多いです。

さて、それではさっそく国際ビジネス学科についてカリキュラム、科目、進路、特色の4つの観点からお話ししていこうと思います。

1. カリキュラム

高専特有のくさび形教育は、国際ビジネス学科でも変わりません。

(石川工業高等専門学校HP:https://www.ishikawa-nct.ac.jp/outline/characteristics.htmlより)

くさび型教育とは、学年が上がるにつれて専門科目が増えていく教育方針のことを指します。

国際ビジネス学科でも同様、学年が上がるごとに、経営などの専門科目が増えていきます。また、仮に国際ビジネス学科を修了後、専攻科(高専の学部5年間の上にある2年間の課程)に進学した場合には、卒業時に経営学の学士を受け取ることができます。

そんな中で工学系の学科と大きく異なるのは、実習がないことだと思います。
実際に機械を動かしたり、実験したり、工作したり…ということはなく、基本的に教室での座学がメインです。

しかし、私の学科では「異文化体験」という夏の長期休みを利用した希望者のみの短期留学制度があります。学年により参加できる国が異なるのですが、カナダ、台湾、ロシア、韓国に行けるチャンスがあります。また、長期の留学制度もあり、1年間または半年間、休学することなく、カナダへ留学することも可能です。

長期留学には成績などの要件もあるのですが、毎年約クラス45人中、3‐6人がカナダへと旅立っていきます。カナダでは語学の勉強はもちろん、現地の学校で通常科目も勉強します。

2. 科目

高専ではほとんどの学科が工学系のため、数学をみっちり勉強するのですが、私たち国際ビジネス学科は1‐3年生の間に数学は1科目しかありません。また、他学科が物理、化学や力学など複雑な科目を勉強している中、私たちはまた同様に理科という1科目しか勉強しません。そのため理系科目にはとっても弱い学科なのです。ごめんなさい。

ではその代わりに何を勉強しているのか?と言いますと、文系のいろいろな科目、そして外国語などです。経営や会計から言語学までと広く勉強します。

また、私の国際ビジネス学科では、「国際」ビジネス学科というだけありまして、中国語、ロシア語、韓国語の中から第二外国語をひとつ選択し、5年間一貫して勉強します。もちろん英語の科目も多いです。第二外国語の楽しさに気づいてしまい、卒業時に第二外国語も英語もペラペラなんて学生もたくさんいます…。MicrosoftのWord、Excelの使い方を勉強できる科目もあります。

つまり「国際ビジネスに必要とされるビジネスの知識・スキルそして語学力」を他学科の専門科目のように勉強しています。

3. 進路

高専卒業後の主な進路としては、進学と就職の2つがあります。これも他の学科と変わりません。
割合としてはどちらも半々くらいです。

進学では、大半の学生が大学の2,3年次に編入していきます。国際ビジネス学科では、経済や経営、法、国際関係、英語など、幅広い学部の選択肢があります。

就職では、一般企業での事務職等はもちろん、銀行や地方・国家公務員を目指す学生も多いです。公務員や銀行といった進路に進めることも”文系学科”ならではの特徴の1つです。

春の富山高専。桜がきれいです。

4. 特色

最後に、私の学科の特色をいくつかご紹介できたらと思います。

まず、なんといっても女子が多い!クラス総員40人中、男子学生が一桁なんて当たり前だったりします。文系の学科は女子学生からの人気が非常に高く、ほかの学科では信じられないくらいに女子の比率が高いです。
工学系のイメージが強く、女子学生が比較的少ない高専の中で、文系の学科はひときわ女子学生の目を引くのかなぁと思います。

次に、外国語に力を入れていることも大きな魅力です。外国語の授業数が多く、留学制度が整っているため、「外国語大好き!」という方には最適な環境です。

さらに、文系の科目を広く学べるため、比較的進路の選択の幅が広く、自分の進みたい道に進みやすいフレキシブルな学科かと思います。

このような特色を持ちつつ、他の高専と同じく、5年間の一貫した教育、専門性の高さや就職率100%という高専特有の特色も兼ね備えています。


と、私の通っている国際ビジネス学科はこんな感じです。

文系高専の魅力は伝わったでしょうか?

世間一般の「高専は工学系」という固定観念の中で、私たちはひっそりと文系の道を歩んでいます。「文系の高専」の魅力がもっともっと皆さんに広まることを祈っています!


執筆:山本ひかる
編集:若林拓海

この記事を書いた人