進路に悩んでいる高専生にも悩んでいない高専生にも

技術がある高専生から、技術を伝える教員へ

長野高専から東工大に編入し、東工大の助教をしつつ、この8月からスタンフォード大学の客員助教をしている大橋先生。
大橋先生の経歴や研究内容はこちらからどうぞ。

電気電子工学で博士号を取得し、技術経営の修士号という2つの学位を持っている先生に、その行動力の原点を伺ってきました。

高専の先生に機会をもらった

中学生のときは地球温暖化問題に取り組みたいと考え、電気自動車(EV)やソーラーパネル等、エネルギーを使った解決に興味を持ち、高専に入学したそうです。また大橋先生の地元の長野では、高専は進学校に次ぐ位置の学校として、長野高専の知名度があるようです。

大橋先生は高専時代から、様々なことに挑戦していたといいます。

「勉強が好きで、テストで点数を取るのが好きだったんですけど、そのおかげで5年間クラス1位でした。また部活動は、バトミントンをしていました。ほかにも高専の先生が、プレゼンテーションコンテストや学会発表の機会を紹介してくれたので、積極的に参加していました。」

誰かからいただいた機会を逃さないその行動力は、見習うべきものだと感じました。
その行動力があったからこそ、さらに機会が回ってくるのだと思います。

“バカになれ”と言われ教育に興味を持つ

高専入学時は大手に就職できればいいなと考えていたのが、勉強を続けたいと思い、編入を意識するようになったそうです。

「親曰く、高専2年生の時には編入したいと言っていたようです。また長野高専では、就職と進学が半々の割合だったということもあって、編入を考えやすかったのだと思います。」

高専在学中に英語の先生に、世界各国から中高生が集まる国際キャンプを薦められ、それに参加したことがあるきっかけになったそうです。

「その英語キャンプでは大学生がメンターだったんですけど、ある大学生に”バカになれ”と言われました。そのときは戸惑いましたが、外国人とのコミュニケーション方法について、その言葉によって気づくことが出来ました。恥を捨てて、へたくそな英語で会話をすることで、友達がどんどん増えていきました。」

この経験から人の選択肢、視野を広げられる教員という職業に興味を持ち始めたそうです。電気電子工学という専門知識と、バトミントンができることから部活動にも携われると考え、その当時は高専の先生になろうと思ったそうです。身近な高専の先生は、みな博士だったそうなので、博士課程も視野に入れていたといいます。

新興国でも、だれもが教育にアクセスできる社会を作りたい

大学の学部4年のとき、バングラデシュの上下水道公社でインターンをしたそうです。

「上下水道といっても、インターンをした地域には下水がなく、上水道だけでしたが(笑) なぜ、電気電子工学とは関係のないインフラ機関でインターンをしたのかと言うと、高専から大学までずっと同じ電気を学んでいたので、ほかの分野を見てみたいと思ったからです。一方、3か月間バングラデシュで過ごす中で、教育を受けられない子どもの存在を知り、これを解決したいと思うようになりました。」

この経験が原体験となり、高専の教育ではなく教育を受けられない世界の子どもに対して、アプローチをしたいと考えるようになったようです。

「教育を受けられない子どもたちがいる国は、そもそも、社会基盤やインフラが整っていません。そこでインフラの要でもある電気電子の中でも、院生時代は半導体の研究をしていました。そして教育や社会について研究するために、技術経営修士でも同時に学び始めました。」

どのような形で教育にアプローチをするかというところで、会社に入ることも考えた時があったそうです。

「修士のとき就職をしようかと思った時期があって、キャリアフォーラムに行ったりもしました。でもそのとき担当教員に、今の勢いで修士も博士も短期修了しましょう、と背中を押されたので博士に進学しました(笑)
博士課程での就活の時には、政府系機関、商社、外資系コンサルなども受けました。これらの会社が自分のやりたいことに似てると感じたからです。しかしそのとき東工大での教員のポストを頂けたので、企業より教員のほうが、自分でいろんなことが出来ると考えて、教員の道を選びました。」

内定もあったそうですが、自分でやりたいことをしたいという気持ちが強かったようです。

今後の活動については、

「新興国の子どもたちへ、教育の観点でアプローチをしていきたいですね。”持続可能”である教育を目指しています。しかし僕もどこで、何をしていこうか悩みます。大学の教員としてさまざまなことに手を出していますが、いつかはどれかにフォーカスをしていきたいですね。」

いろんなことに挑戦して、自分に一番合う道を探す。そう大橋先生は話していました。

かっこいいことをやろう

最後に高専生へのメッセージを頂きました。

「学生生活では自分が何をしたいか、やりたいことを探す時間だと思います。僕の場合は新興国で教育を行いたいということを見つけました。
僕のモットーは、”かっこいいことをやろう”です。東工大の助教はかっこいい。スタンフォードの客員助教もかっこいい。今はそんな気持ちで働いています。
なにかと悩む学生生活だと思いますが、ぜひかっこいいことをやってください。応援しています。」

やりたいことを探すために、さまざまなことに挑戦し続けている大橋先生。その原点には、「かっこいいことをやる」という気持ちがあるために行動し続けられるのかもしれません。


大橋先生がTEDに出られたときの映像がありますので、以下からご覧ください!

(途上国の教育に貢献するために半導体の博士課程は必要か | TAKUMI OOHASHI 大橋匠 | TEDxYNU)


取材・執筆:加藤桃子
編集:若林拓海

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