進路に悩んでいる高専生にも悩んでいない高専生にも

第五回高専キャリア全国大会に参加してきました【イベントレポート】

2019 12/26,27に秋葉原で株式会社高専キャリア教育研究所主催のイベントが開催されました。

「高専の価値を完全に理解できる2日間」という内容で、ビジネスコンテストとキャリアセミナーの2つのメイントピックがありました。
現役高専生・専攻科生から、編入生、高専卒社会人、高専を知っている方と、様々な人が集まったイベントでした。そして現役生は北海道から熊本まで、全国の高専生が32人東京に集まっていました。
ツイッターのハッシュタグ「#高専キャリア」で盛り上がっていたイベントです。

イベント内容を1日目、2日目に分けて紹介していきたいと思います。

1日目

  • 第1部オープニング
  • 自己表現ワークショップ
  • 現役高専生によるビジコン課題提供プレゼン
  • バイアスブレイクワークショップ
  • ビジネスコンテスト説明
  • SHIFT~イノベーションの構造的可視化~

第1部オープニング「ビジネススキル×高専生=イノベーター」

登壇者:りゅーかんさん

高専キャリア代表のりゅーかんさんによるオープニングセッションから始まります。

りゅーかんさんが語るのは、高専生にビジネスの知識が必要な理由でした。

なぜ今回ビジコンを開催したのか、「伝える力をつける」その必要があると、りゅーかんさんは話します。
エンジニアによく見られるのが、人に伝える力、つまり相手に伝えるための表現力が足りていないということです。

ビジネススキルは、伝える力と構造的価値の証明だそう。言い換えると、自分のやりたいことを見つけた時に、それを実行出来るスキルだと言います。
つまり、エンジニアがビジネススキルも持っていると、イノベーターになることが出来るということです。
そして、高専生はすでに技術力を持っているので、ビジネスを学ぶだけでイノベーションが出来てしまう。そうりゅーかんさんは強く訴えていました。

自己表現ワークショップ 「伝える≠伝わる」

登壇者:高村エリナさん パラレルキャリア研究所代表

次に、パラレルキャリアを推奨している高村さんによるワークショップです。
そもそもパラレルキャリアとは、本業以外に、第2の活動をすることを指します。終身雇用も無くなろうとしている昨今、転職しやすいためにも、本業以外の活動に注目が集まっています。
高村さんは、パラレルキャリアを行うことで、自分が好きなことで稼げるようになるだろうと話します。

天井, 室内, 光景 が含まれている画像  自動的に生成された説明

このワークショップでは、普段話さない自分の趣味を書いたり、立ち上がって、距離感を変えながら2人であいさつをしたりしました。中でも、自分の食べるお雑煮の絵を描くことが1番盛り上がっていました。

これらは自己開示、あいさつ、異文化理解の体験だそうです。
自己紹介のときに、自分から自己開示をすると、相手も自己開示しやすくなり、コミュニケーションが円滑になるようです。あいさつの言い方によって、自分なりの印象を与えることが出来るといいます。そして異文化理解では、違いを明確に言語化することで、相手を受け入れやすくなると話していました。

これら3つは、どれも表現に通じるスキルです。大前提として、自分が伝えているつもりでも、相手に伝わっていないことはよくあります。相手の立場で考え、自分が伝えたいことが、相手に伝わっているかを気にして話すことが大切だと言います。そして話すこと、というのはトライアンドエラーで向上させていくものだと話していました。

現役高専生によるビジコン課題提供プレゼン

ビジネスコンテストの具体的な課題決めです。
参加学生数名が、ビジネスとして実行したい課題を持ち寄り、その中から参加者がそれぞれ興味を持った課題ごとにグループを作ります。今回は、以下の6テーマがありました。

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  1. レスキューロボットを使用したビジネスの展開
  2. 就活ではなく、学生の成長過程を見る就活の方法
  3. 農業において、種子の保存のためのビジネスモデル考案
  4. プログラム教室のビジネスの進め方
  5. 高専生の起業を支援するビジネスの進め方
  6. エンジニア採用の在り方について

バイアスブレイクワークショップ
バイアスブレイク×イノベーション

登壇者:Eureka(ユーレカ)! 代表寺島ゆりかさん

午後のトピックの一つ、バイアスブレイクのワークショップです。
先ほどの、6つの課題ごとにグループに分かれて、ワークショップを受けます。

バイアスとは、、無意識の思い込みによって、視野が限定されるなどを引き起こす現象のことです。Eureka! はワークショップなどを通じ、バイアスブレイクとして、その無意識の思い込みなどをうまく外すことで、新しい発見やアイディアや考え方の提案を行っている会社です。

ちなみにEureka! とはびっくりしたときに使う英語で、ギリシャ語由来の単語のようです。

バイアスブレイクの例として、水田を観光資源として活用するなどがあります。これからやってくるであろうAI時代で、人間には、AIが出来ないイノベーション開発のためのスキルが必要だといいます。
そのスキルの一つとして、バイアスを認識するということがあります。バイアスがあると、新しいイノベーションは生まれないといいます。寺島さんは「バイアスを取って自由な発想を持ち、クリエイティブをしよう」と話していました。

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実際に、アートを見てそれぞれが思ったことを、紹介し合いました。
一人ひとりの見え方や発想の違いを体験出来ました。

最後に寺島さんは、新しいイノベーションについて、「重箱の隅をつつくのではなく、それに人々が惹かれる何かはあるでしょうか」と問いかけます。お金ばかりを追い求めると、無機質なプレゼンテーションとなり、人の心をつかめずに投資を得られないと話していました。

ビジネスコンテスト説明

登壇者:りゅーかんさん

りゅーかんさんによるビジネスコンテストの説明がありました。

新事業においての重要点は、新規性・有用性・実現可能性だと言います。投資家にとって、稼げそうと思わせることが大切だそう。投資性では、自分が新事業を行う理由、成功する理由の証明や、机上の空論ではなく、実績が重要だと話していました。

そして、事業を一緒に行うチームについては、適材適所な役割分担や、意思決定に従うことが必要だと言います。またチームのリーダーが一番重要だと言い、リーダーとはどんな問いにも「一言で回答できる」必要があると話していました。

SHIFT~イノベーションの構造的可視化~

引き続き、りゅーかんさんから、どのようにイノベーションの価値を可視化するかという話がありました。それを踏まえ、チームごとに、可視化するためのグラフ作成を行いました。

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筆者が参加したチームの課題は、「農家が災害を受けたときに復旧するための支援」でした。チームでは、そもそも何が必要で、何ができるのかという、アイディアを探すところから始まりました。そのアイディアではもちろん、高専生らしさの技術を使うという気持ちもありました。

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この図が大まかな、イノベーションの価値のグラフです。

災害後に、農家が現在行っている方法は、ローリスクだがローリターンだと仮定しました。その上で、農家が考えるテクノロジーは、コストの面などでハイリスクと捉えられがちであるだろうと予想をしました。そこで、チームで提案するテクノロジーが絡むことで、ローリスクハイリターンにするという課題解決法を考えました。

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何回か、高専キャリアCTOの兼城さんから、フィードバックをいただきました。そして3時間ほどで、なんとか「災害を受けて復旧したいがなかなかできない農家」を対象とすることに決まりました。

災害時の被害の定量化が出来ると、保険金が早期に下りやすくなるだろうと考えました。そこで、農家さんへの解決策として、ドローンやセンサーなどを利用し、定期的に農作物等の状況把握をすることで、被害の定量化を目指すというシステムを考案しました。これまでにないユニーク性として、技術によりハイリターンを見込めることや、ビジネスの対象として、保険会社、行政、センサー会社などが含まれるとしました。

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1日目で、チームごとでそれぞれのイノベーションの価値を可視化し、2日目に行うプレゼンテーション資料の作成をしました。

筆者が参加したチームは、農業というあまりなじみのない分野の課題だったので、その分野について調べ、何が出来るかという価値を探すことが非常に難しかったと感じました。「その課題が難しかったら、変更しても良いよ」とりゅーかんさんにも言われましたが、その後の修正でビジネスモデルを作るところまで行くことが出来ました。

私自身、ビジネスコンテストが初めてで、ビジネスに沿うように課題解決法を考案するということが重要なのだと知ることが出来ました。

2日目

徹夜でプレゼン資料を作成するくらい、参加者も主催者も本気なビジネスコンテスト2日目。5チームそれぞれが朝10時半までに、なんとかスライドを作り終えたという雰囲気でした。

  • 納品プレゼンテーション
  • 高専卒業生のキャリア最前線
  • 大交流会

納品プレゼンテーション

りゅーかんさんによる2日目のオープニングセッションからはじまり、6チームが投資家に向けて5分間のプレゼンテーションを行います。

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どのチームも1日目と比べ、大幅にビジネスモデルとしてレベルアップした内容となっていました。そして、それぞれが投資家から具体的なフィードバックを貰いました。チームの中には、実際に活動している参加者も居たので、非常に有意義なコンテストとなっただろうと伺えます。

高専卒業生のキャリア最前線

午後からはビジネスコンテストではなく、高専生のキャリアのセッションが始まりました。
主な内容として、高専に関係のあるハッカーや大手企業、教育関係者、大学教授などの講演がありました。
また女子高専生だった方のキャリアとして、高専卒の女性の方が2名登壇されました。

また参加者は、ビジネスコンテストに参加している学生はもちろん、高専卒業生、高専関係者が多く来ていました。

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そして、登壇者同士の会話形式のセッションで、それぞれの仕事や高専についてお話されていました。参加者からの質問も多く、非常に盛り上がっていました。

大交流会

キャリアイベント終了後、登壇者、参加者同士の交流会が行われました。

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学生同士はもちろん、社会人と学生の交流が多く行われ、学生のキャリア面などの刺激になっていました。

また高専カンファレンスin福岡の紹介もありました。
過去最大規模で、分野にとらわれないカンファレンスだそうです。今後の情報解禁も非常に楽しみです。

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参加者にとって非常に濃かった2日間だったと思います。
短時間でアイディアを出し、目に見える形にするという経験。そしてそれに対する、社会人からのフィードバックを貰うということは、普段の学生生活ではなかなかありません。

そして、全国の高専生に会えるのはもちろん、社会で活躍している卒業生の話を聞けるのは有意義でした。
高専マガジンとしてはもちろんですが、一学生として、このビジネスコンテストに参加できて楽しかったです。

全国の高専生、高専関係者と繋がることのできる高専キャリアのイベント。ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

イベント参加・執筆:加藤桃子
編集:若林拓海

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