進路に悩んでいる高専生にも悩んでいない高専生にも

高専生なら時間を無駄にするな!高専卒起業家の「思考術」

今回取材させていただいたのは、福井県鯖江市と東京の2拠点で活動されているjig.jpの創業者であり、会長を務める福野さん。福井高専から、就職という進路を選ばずに起業をされています。自分の力で進路を切り開いてきた福野さんには、話されるすべての言葉に力がありました。

福野泰介
8歳でプログラミングを始め、福井高専に進学、アルバイト先で地図情報システムを開発。
2003年 jig.jpを設立、携帯電話向け「jigブラウザ」など、ツールソフトウェアを企画、開発、提供。
2010年 次世代のwebの要、オープンデータを鯖江市長に提案、日本初のオープンデータ都市が実現。
2012年 民生用メガネ型コンピューター、EPSON MOVERIOに感動し、電脳メガネサミットを企画。
2014年 こどもパソコン「IchigoJam」を開発、世界中のこどもや大人にプログラミングを伝導中。
日課は創ること。ブログ、一日一創。

福野さんにとっての理想の高専とは

ー今でも福井高専に関わられているわけですが、福井さんにとって理想の高専ってあったりするんでしょうか…??

「僕の中では僕がいた頃の高専が最高だと思うんだよね。今の高専と僕がいた頃の高専、何が違うかとかあんまり覚えてないから詳しく言えないし、実際にどっちがいいとか言ってる人もよくいるけど、結局は気の持ちようだと思うんだよね。
高専のいいところって「人が良い」というのと、「何かやりたいと言った時にやりたいことをやれる時間と環境がある」ってこと。それだけで充分だと思うんだよ。だから、その人にとって最高の高専っていうのは気の持ちようやその人の行動次第だと思うね。」

ーということは、高専自体は変わっていないと??

「まぁ構造の問題はあるかもね。少子化というのがあった時に、高専は少子化でも定員を減らさなかった。入れる人に対して、受ける人が減ってしまって濃度が薄くなったていうのはあるかもしれないね。」

ーなるほど。そうした中でもやりたいことをやれる環境と時間、人というものは変わらずにずっとあり続けるというわけですね。

「うん。そこは変わってないと思うんだよね。あと、学科によってカリキュラムが違うからとかいうけど、そういうのもやりたいならやれば良いじゃんって思うんだよね。学科が違うからやれないってわけじゃないし。勝手にやっちゃえば良い。自分で本買って勉強して。分からないことがあれば先生とか他学科の子に聞けば良い。変に型にはまっちゃてたりする子が多いと思うんだ。
まぁだからと言ってこういうものって無理やり変えたりしても新しい道に沿って歩く子が増えるだけだから、変えたりしていくのが大事なんじゃなくて。やりたいことやるっていう姿勢が大事だと思ってるね。自分自身でやりたいと思うことをやっていくだけだよ。」

福井高専では特任教授として学生とモノづくりをされているとのこと。
写真は福井高専の校長先生と地球物理学研究会の岡本先生と。

起業は消去法で選んだ。実際にやってみて不満を見つける。

「起業したいって思って起業したわけじゃなくて、起業っていうのは消去法で選んだんだよね。笑
学生の時に働いてたんだけど、働くのが絶望的に苦手だと分かったんだよ。そして、卒論書いていて、研究も嫌だと分かった。消去法で残されたのは起業とニートだけだったんだ。だから起業を選んだんだよね。」

ー消去法で起業を選んだんですね!!働くのも研究するのも嫌だ。でも周りはどっちかを選んでる。だからまだマシな方を…って考える人も多そうですけど…

「本質的には何をしたいか。ただそれだけだよ。
僕は何かモノを作りたかったから、モノづくりという道、クリエイターという道を選んで、人からごちゃごちゃ言われるのが嫌だから人の下で働きたくないと思って起業した。
これは実際にやってみて分かったことなんだよね。頭の中であれこれ考えるのもいいけど、実際にやってみて嫌なものに出会う。『自分にとってこれが不満だ』ということに気づくことが大事だと思うんだよね。」

※不満を解決するのは自分の手で解決するのが手っ取り早いということで毎日何かモノを作り続けているとのこと。その過程を公開している1日1創ブログでは、毎日更新を2012年から続けられています。福野さん曰く不満はそこら中にあるからネタは尽きないとのこと。

後悔はしない。再現性のないことに悩んでもしょうがない。

ーこれまでに人生で大きな決断をする場面があったと思うんですけど、何か後悔したなってエピソードとかありますか??

「うーん。基本やりたいことやってるだけだからね。笑
結果としてそれがあってるかあってないかなんていうのは検証不可能だから後悔してもしょうがないよ。
プログラミングと違って人生は再現性がないからね。悩んでもしょうがない。
あとさ、失敗という点でいうと、小さい頃からスキーをやっていてスキーは普通に滑れたんだけど、高専に入ってからスノボーに挑戦したんだよ。それで最初は何やってもコケるんだ。絶対に。
この最初になんども転ぶのが一番面白かったんだよね。
ゲームでも何も失敗のないゲームって面白くないじゃん。RPGで初めからレベル99の勇者で始まっても面白くないでしょ??やっぱり失敗して、何度でもチャレンジできる。それが楽しいんだよね。これは人生でも同じだと思うよ。」

ー後悔しないとなると、起業して、ストレスとかもなかったりしますか??起業ってすごくストレスがたまるイメージがありますが…

「うん。ないね。笑
まぁ起業して色々あったけどね。
その時のベストを尽くすしかないし、ベストを尽くすためには体調崩してる場合じゃないし。笑」

ー健康に気を使われてるんですね。

「まぁ健康にはもちろん気を使っているけど、むちゃくちゃ気を使ってるわけでもないんだよね。実際に失敗してちょっと後悔したことがある。病院で胃カメラ飲んだり、こんな時間もったいないと思ってさ。笑
前、体調ちょっと悪い時に唐揚げ食べまくったことがあって、そのあと胃痛で病院行ったことがあって。そんなことに時間使うくらいなら食わなきゃいいじゃんって思ったんだよ。笑
面白いのがあってね。これなんだけど。(COMPを取り出す。)
これね、1年続けてるんだけど。粉を毎朝、牛乳と一緒に飲んでるんだ。
牛乳と粉は温めて飲むのがおすすめだね。温めるとシェイカーいらずで便利だよ。(詳しいレシピは福野さんのブログから。
まぁこんな感じで、なんとなく健康に気を使ってる感じです。」

IchigoJam 誕生5周年の際は鯖江市の企業とコラボしてイチゴ焼きを作ったりするなど地元鯖江市でも活動をされています。

時間を無駄にすることは遊びとは言わない。

ー最後に進路はこのままで良いのかな?って悩んでるような高専生に向けてアドバイスをください!!

「良かったのかな?って思う時点で受け身だよね。思ってるだけじゃ良くならないから。
不幸だと思いたいくらいなら自分からやれば良い。進路は自分で良くするんだよ。
まぁ他の学校よりも制約が少ない分、自分でできることが増えるからラッキーだと思えば良いと思うよ。」

「将来を考えるという前に、時間というものを意識しない人が多い気がするね。もっと意識しないとダメだよ。例えば100万円があるとしたらむっちゃ考えるよね。「どう使おう」って。でも時間ってだらだらと部活続けたり、周りに合わせてゲームやったりドラマ見たりして、お金に比べて無頓着な人が多い。
時間っていうのは相対的って良く言われるけど、10歳にとっての1年と100歳にとっての1年って全然違うんだよね。やっぱり。だからもっと貴重に使わないと。思ってるより高専の5年は貴重だから。RPGでいうとほとんどみんなは始まりの街でうろうろしてるだけなんだよね。
もっと自分から挑戦しないと。失敗しても美味しいだけだし。成功を語ると自分語りの多いやつだけど失敗談はネタになる。笑」

ー学生の時って時間をすぐ手に入れられるお金に変えるためにバイトするって人多いと思うんですけど…

「そうだね。なんでそもそもバイトしたがるんだろうね。なんか買いたいものでもあるのかね。」

ー遊ぶためにお金を貯めるって感じだと思います。

「遊びと学びってイコールなんだよね。赤ちゃんは遊びから学ぶんだよ。学校の授業もその先に価値があるかというとほとんどない。あれ、大人になるまでの間遊んでるんだよ。笑
時間を無駄にすることは遊びとは言わない。だからこそ、もっと時間について考えて、自分のやりたいことのために時間を使っていって欲しいし、進路は自分の力で良くしていって欲しいと思います。」

終始、パワーに溢れるワードづくしの福野さん。その根底にあるのは不満をなくすために自分の手で何かを作るというクリエイターシップと、人生は自分の力で良くしていくという強い意志でした。皆さんも、福野さんの言葉から時間について、進路について何か得られるのではないでしょうか。

執筆:大久保和樹
編集:若林拓海

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