進路に悩んでいる高専生にも悩んでいない高専生にも

【イベントレポート】高専キャラバンの1日目に参加してみた。

先日開催された「高専キャラバン」の一日目に参加してきましたので、レポートしていきます!

高専キャラバンの2日目は7/22に開催されます。ご興味のある方は、こちらから参加申請をどうぞ!

高専キャラバンって?

高専キャラバンとは、フラー株式会社が主催する、高専生のためのキャリア講演会のこと。様々な企業の高専愛の熱い方が集まって、学生のために講演を行ってくれる。

本来であれば、登壇者が各高専に実際に訪れて講演を行う予定だったが、皆さんもご存じの通り新型コロナの大流行の影響でオンライン開催となった。

コンセプトは「かつて、あたりまえの進路を選ばなかった。だから、次も自分らしく。」

公式サイトはこちらからどうぞ。

ディープラーニングと高専の可能性

17:15 ~ 17:35
基調講演:「ディープラーニングと高専の可能性」
東京大学大学院工学系研究科 人工物工学研究センター/技術経営戦略学専攻 教授
松尾 豊 氏

一人目の登壇者は、東京大学大学院工学研究科の松尾教授。松尾先生は、以前から高専に対して高い評価を持ってくださっている。

そんな松尾教授が、高専と深層学習の可能性について講演してくださった。

日本は他国に比べて、まだまだITやAIの活用ができていないことを挙げ、だからこそこれからの可能性があるということを説明してくださった。

深層学習(ディープラーニング)は、エンジンやインターネットの発明と同じく、世界を塗り替える可能性のある技術だとのこと。豊チャートという業界図を使って、これが大きく変化するだろうという予測を説明してくださった。
これには筆者も納得がいき、これからの社会に強く結びつく技術なのだろうと感じた。

また、深層学習はハードウェアと組み合わせることが大事だとし、それは高専生にも意識してほしいことだそう。

さらに高専生へのメッセージとして、ぜひ起業してほしいとおっしゃられた。頭、手、足をバランスよく動かすこと。ビジネスを考えるのではなく、調べることが大事だと強く訴えた。

高専生がマイクロソフトに入社するまで

17:35 ~ 18:05
スポンサー講演①:「おおかわみおのぼうけんのきろくをみてみますか?」
日本マイクロソフト株式会社
大川 水緒 氏

2人目の登壇者は、マイクロソフト株式会社の大川水緒さんが、自分がマイクロソフトに入社するまでの経緯を話してくれた。

通常のプレゼンとは違い、ドラクエ風のゲーム画面のような動画を使ってお話をしてくれた。

現在はマイクロソフトの社員として働いているが、高専時代は五年生まで、ただ課題をこなすだけの生活を送っていたという大川さん。そして五年生の時、せっかく高専に来たのだからと思い立ち、ITコンテストの道へと足を踏み入れたという。

五年生の時にチームで開発した、旅するゲームアプリ「コッコロ」でプロコンに出場し、特別賞を獲得した。大川さんは、もっとコンテストに出たいと考え、内定の決まっていた会社への就職を辞退し、同校専攻科へと進学することを決める。すると奇跡的に、コッコロを開発していたチームメンバーも専攻科へと進学を決めており、チームを解散することなくITコンテストに没頭することとなる。そして専攻科二年生の時、Imagine Cup2012で、日本一、世界大会で2位に入賞することができた。

開発に没頭しすぎたせいで就活に出遅れてしまったが、なんとかNTTコミュニケーションズへと入社を決めた。

その六年後、自分の成長は感じられなくなった大川さんは、知人の紹介でマイクロソフトの面接を受けることになり、内定をもらった。

しかしここで大川さんは悩んだという。NTTに残れば、尊敬できる先輩と自分に合った成長を見込める。だがお給料はもちろん変わらない。マイクロソフトに行けば、技術も英語力も足りないと分かっているので、毎日がボス戦のような日々になるだろう。メンバーもどんな人がいるかわからない。だが、スキルは確実に伸びるし、憧れのマイクロソフトに入るという目標もかなう。

悩んだ結果、エバンジェリストとしてマイクロソフトに入社することになったそうだ。

次にマイクロソフトのクラウドサービス「Azure」についての説明をしてくれた。Azureは、AIや分析、Iot等の技術を従量課金制で使用できるので、学生でも気軽に新しい技術にチャレンジできるのだという。

実際にゲームを作りながら、Azureの使い方を説明してくださった。

わずか数分でAIをゲームに組み込むことができるようで、学生がチャレンジするにはピッタリであると感じた。

学生が無料で利用できるサービスも多くあるというので、チャレンジしてみたいと思った学生の方はぜひ調べてみてほしい。

『お仕事』と『推し事』で加速させる高専生的成長戦略

18:05 ~ 18:20
スポンサー講演②:「『お仕事』と『推し事』で加速させる高専生的成長戦略」
株式会社BearTail
坂上 晴信 氏

次に株式会社BearTailの社員である坂上さんが、自分の趣味であるアイドルマスターを通して、自分の仕事に対する考え方が変わったという話をしてくれた。特に自分がBearTailに入社し、現在に至るまでを三部に分けて説明してくれた。

第一部は死に物狂いで労働期。
坂上さんが入社した直後、BearTailは倒産の危機に陥り、社員が20人から10人未満へと減少してしまった。人もお金もない状況で、何とかこの現状にしがみつこうと死ぬ気で働いたそうです。未経験の仕事がどんどん入ってきて、未経験なのにWeb系の仕事をしていたりしたという。
そして何とか黒字化を達成し、危機を脱した。スキルも成長することができ、良いことも多くあったとのこと。
ここで坂上さんは、学生に向けて、立ち上げ期のベンチャーに入社するときは、よく下調べをした方がいいというアドバイスをした。


第二部は自らの力を外部で試した期。
会社は、事業が軌道に乗り、右肩上がりの成長をしていた時期。この期間に坂上さんは、アイドルマスターというアニメに出会った。そのアニメは普通の女の子が芸能界に飛び込み、成長していく話で、ベンチャーに飛び込んだ自分と共通項を多く見つけ、大号泣したといいます。
そこで感じたことが、「自分も彼女たちのように、自分を外に出していくことができれば、同じ風景を見ることができるのでは?」ということだった。それから坂上さんは、どんどん外部に出ていって、技術や経験を発表していくことにしたそう。

アイドルマスターと出会うことで、こういった活動的な欲求が生まれたと話してくださいました。


第三部は組織と個人の成長の両立を模索しはじめた期。
会社はその時60人規模まで成長し、大企業からの受注が増加するような期間だった。そしてその時のGWに、以前とは違うアイドルマスターのアニメを見ていて、主人公が精神的に追い詰められたときに、自分の成功を後回しにしてまで助けにくる仲間の姿を見て、かっこいいなと思う反面、自分はどうなんだろうと問い始めたという。

そこから坂上さんは、少し自分の中でさぼっていたなというところを見つけて、組織のためになにかできないかと模索し始めた。

坂上さんはこれらの話を通して、「自分のモチベーションに正直に向き合ってほしい」というメッセージを伝えたいのだという。自分が好きだと思うことや欲求に正直に向き合い、発信をしてほしい。それがアニメのような消費の趣味であっても、自信をもって好きなことに影響されてほしいとのこと。

自分のモチベーションが見つからないよという人には、雑談の場で「会話をより長く、楽しく続けられるトピック」を探すように伝えた。それが自分のモチベーションとなることなのだという。そして自分の好きを認めてくれる仲間や組織を大事にするように強く訴えた。

ものづくり時代に生きる君たちへ

18:20 ~ 18:35
スポンサー講演③
株式会社Gunosy Gunosy Tech Lab 上席研究員
共同創業者
関 喜史 氏

次は、株式会社Gunosyの共同創業者である関さんの登壇です。

とある高専OBの行き当たりばったりのキャリアとそれを支えるものづくりの技術というタイトルで、自分がGunosyを立ち上げるまでと、ものづくり時代に考えるべきことをお話してくださいました。

高専に入った理由は、中学生のころにネトゲにはまりすぎて、授業中はずっと寝ていたため内申点が低かったからだといいます。高専に入ってからもネトゲ三昧の生活を送っており、また授業中でも寝てばかりだったそう。当時の成績表も公開してくださいました。

しかしある日から、自分が参加していたネトゲのギルドが荒れてしまい、新しいギルドに入るものの、なじめなかった。その時から将来のことを考え始めたのだという。さらに2ちゃんねるに影響されて、東大以外は大学じゃないといった過激な思想に感化されてしまったため、東大編入を目指したとのこと。

そして見事東大に合格し、松尾研に所属することになり、友人と夏休みにGunosyを開発した。そしてとあるエンジェル投資家から「絶対に起業すべき」と言われ、起業を決意したのだという。

どれもたしかに行き当たりばったりな行動だったが、全てがうまくかみ合ったのだと関さんは語った。

そして学生には、「学ぶだけでなく、形にして世の中に出すこと」の重要性を語った。アイデアを形にすることは何よりも大きな学びになることを、Facebookのマークザッカーバーグの「Done is the better than Perfect(完璧より、まず終わらせよう)」という言葉を引用しつつ説明した。

これからの世界は、専門性・好奇心・協調性が世の中をよくしていくのだという。ますます世界が複雑化していく中で、ただ技術を知っているだけではダメで、世の中に出したことのある経験といったものが重要になってくるのだと強く訴えた。

学生支援情報

ここから高専学生支援情報として、様々な企業・団体からの情報提供があった。


高専キャリア研究所の菅野さんは、高専生にぜひ入ってほしいコミュニティを紹介した。高専生限定のイベント、ビジコン、合宿など、高専生が成長できる場を提供しているコミュニティがあるとのこと。詳しくはこちらからどうぞ。


株式会社TechBowlの小澤さんは、無料で支援を受けられるエンジニアコミュニティを紹介した。コードレビューや、プログラミングの学び方などを、現役エンジニアから学べるのだという。詳しくはこちらからどうぞ。


ZENPENの鈴木さんは、編入を支援する団体であることをアピールした。サイトには編入体験記が掲載されており、年二回ほど開催されているイベントでは、実際に編入を体験した学生が講演を行い、交流もできるようだ。詳しくはこちらからどうぞ。


株式会社プロッセルの横山さんは、オンライン上で完結するインターン×ビジコン「オンコン」を紹介した。ビジネスの案を短期間で考え、実施にピッチするところまでを行うイベントで、これまでに500人以上が参加しているのだという。詳しくはこちらからどうぞ。

まとめ

全ての講演で、高専生への愛が感じられました。


これからの時代、人を取り巻く環境はこれまでよりも急速に変化していくと言われています。そんな中で、高専生はどうやってキャリアを形成していけばいいのか、何をすればいいのかを様々な視点から聞くことができました。

自分の進路やキャリアに少しでも悩んでいる人には、ためになる講演会だったのかなと思います。

実際、筆者も自分がこれからどうやって学んでいくかの指標を作ることができました。

7/22の水曜日に2日目が開催されます。
もし興味のある方でまだ参加申し込みをしていないという方がみえましたら、ぜひこちらのサイトからどうぞ!!

また高専キャラバンの公式Twitterでは、イベントの内容を短くまとめた実況をしておりますので、見逃した方もぜひチェックしてみてください!


執筆:若林拓海

この記事を書いた人