進路に悩んでいる高専生にも悩んでいない高専生にも

【イベントレポート】高専キャラバンの2日目に参加してみた。

7/22に開催された「高専キャラバン」2日目に参加してきましたので、レポートしていきます!

1日目のレポートも掲載しておりますので、こちらからどうぞ!

高専キャラバンって?

高専キャラバンとは、フラー株式会社が主催する、高専生のためのキャリア講演会のこと。様々な企業の高専愛の熱い方が集まって、学生のために講演を行ってくれる。

本来であれば、登壇者が各高専に実際に訪れて講演を行う予定だったが、皆さんもご存じの通り新型コロナの大流行の影響でオンライン開催となった。

コンセプトは「かつて、あたりまえの進路を選ばなかった。だから、次も自分らしく。」


公式サイトはこちらからどうぞ。


失敗するよりも、思考を止めることの方が危険

17:15 ~ 17:30
基調講演:「これからの時代に求められるエンジニア力の活かし方とは
株式会社アカツキ 代表取締役 CEO
香田 哲朗 氏

高専キャラバン2日目、1人目の登壇者は株式会社アカツキの代表取締役CEOである香田さん。香田さんは佐世保高専出身で、筑波大学卒業後、アクセンチュアを経てアカツキを共同創業されている。

香田さんが語ってくれるのは、これからの変化が起き続ける時代に、高専生がどう対応していくべきかといった内容だ。時代の変化というのは、後から見れば大きな変化だが、その時代を生きる人たちにとっては自覚しづらいものなのだという。そしてその時代の変化は、今まさに真っただ中なのだと香田さんは語る。

スマホが出てきたときも、スマホがこれほど世の中に浸透し、生活様式を大きく変えるようになるものだとは予想できなかった。IT革命の時もそうだという。世間から見れば、何か新しいものが出てきたぞという認識にしかならないのだそうだ。

今は、新型コロナウイルスの影響で、今までの考え方や価値観が180度変わるパラダイムシフトが起こっているのだと香田さんは予想している。

この騒動で完全に終了したものの一つとして、終身雇用を挙げ、これからは個の時代が始まるのだという。

今までは組織の寿命が個人の寿命より長かった。でも変化が起きていく中で、統計的に見て、企業の寿命が個人の寿命より長くなる可能性は、圧倒的に低くなっているのだと語った。株式会社アカツキのメンバーにも、独立したり起業しても生きていけるような実力をつけるようにした方がいいと伝えているのだという。全員が個の力を高めることが、企業にとっていい影響を与えるのだという。

学生には、失敗するよりも怖いことは、思考を止めることだと伝えた。
変化の大きいこの時代、どんどん動きながら考え続けることが一番大事なことなのだというメッセージで、講演を締めくくった。

高専生のキャリア形成

17:30 ~ 17:45
スポンサー講演①:「モバイルゲーム事業におけるエンジニアの挑戦とキャリア」
株式会社アカツキ
野村 洸太 氏

2人目の登壇者は、石川高専出身でアカツキの社員の野村さんだ。
野村さんは自分の仕事やキャリアについて、インタビュー形式で紹介した。

この記事も、その形式にのっとってご紹介していく。

まず初めに、現在の業務について。
Q.業務内容について教えてください。
A.基本的に何でも屋をしている。特に、ゲーム機能、バグ調査、技術的負債の解消、様々な職種の人をつなぐコミュニケーションハブの仕事をよくしている。

Q.どんな仕事にやりがいを感じますか?
A.最近で言うと、日本語版と国際版の同時開発・運営。詳しいことは言えないが、任せてもらえる期待感が大きいこと、規模の大きさや、責任を達成感を感じられて、やりがいを感じた。


次にキャリアの選び方について。
Q.就活当時の就活の様子はどうでしたか?
A.業界がなかなか決まらず、はじめは何となく大手企業かなと考えていた。でも大企業の説明会などに行っても、なかなか魅力を感じなかった。そんな時に、広く業界を見ておこうと考えて、ベンチャー企業の合同説明会に参加し、とても面白そうだと感じた。大手から転職してベンチャー企業に入社した人にも話を聞くことができ、大手とベンチャーのメリットデメリットを話してもらった。そういうことをしているうちに、ベンチャー企業に就職しようと考え始めた。

Q.株式会社アカツキに入社した理由はなんですか?
A.単純に面白そうだと感じたのもあるが、急成長の会社なので、その環境に身を置くことで自身も成長できそうだと感じたから。

Q.高専での学びは何が活きてますか?
A.プロコンに参加していたので、その経験が一番大きいと思う。考える→手を動かす→結果を見る→改善を図るといったサイクルをぐるぐる回す経験というのは、今でも役に立っている。

Q.これからのキャリアについて
A.
エンジニアorマネジメント
→手を動かしていきたいので、エンジニアとしてキャリアを築いて行くつもり

正社員orフリーランス
→自分の力が発揮できるなら、どっちでもいいと考えている。ただ、これから就活する人は、新卒でフリーランスというのはやめた方がいいと思う。フリーランスという働き方は、まず実績が必要になるので、まず就職して実績を作ってからでないと難しいと思う。

転職するorしない
→これもどちらでもいいと考えている。

仕事or家庭
→仕事and家庭で考えている。どちらかをおろそかにするという選択肢は今のところない。

このインタビュー形式の講演を通じて、学生がキャリアを考えるうえで役に立てば嬉しいと言い、最後には「就活頑張ってね!」というメッセージを伝えた。

誰にも負けないもの、持ってますか?

17:45 ~ 18:15
スポンサー講演②:「きっと役立つ! 高専生活のTipsとお仕事についてのお話」
日本マイクロソフト株式会社
南澤 拓法 氏

3人目は、長野高専専攻科から日本マイクロソフトへ入社した南澤さんだ。
南澤さんは、自分が高専生活やマイクロソフトでの経験から感じたことを、学生に伝えてくださった。

まず初めに、自身の高専生活を振り返りながら、「真面目に不真面目」が重要だということを紹介した。

部活、アルバイト、遊びや研究といった、学生時代に体験するようなことを全て「真面目に」取り組むことが、のちの生き方に影響するのだとという。遊びをすることは全く悪いことではなく、むしろそれを全力で行うことによって、将来の自分の道しるべになるのだと語った。

また南澤さんは、学生に「クラスの誰よりも自分が長けているといえるものはありますか?」と質問した。南澤さんは高専3年生の時に、友人から取り残されてしまう感覚に陥ったという。そこで、これだけは誰にも負けないといったものを作ろうと考えたそうだ。

南澤さんの場合は、海外に多く行くことで、誰にも負けない経験を積んだのだそう。実際そういった強みは、自分を守るためにも役立つし、周りと助け合いをするうえで非常に重要になってくるのだと強く訴えた。

次に、「固定概念に惑わされないこと」が重要だという。情報科だからプログラミングができるべき、部活も勉強も頑張るべき、といった「べき」が多いのが高専の特徴でもあるのだという。しかしこれでは、あれもこれもしなきゃといったプレッシャーだけが高くなってしまい、つらくなることもある。

そこで南澤さんは、「べき」を「武器」に変えて考えることを提案した。情報科だからプログラミングができると「武器」になる、リーダーシップを持つと「武器」になる、という風に考えるだけで、自分がどういう風に頑張ればいいかが見えてくるのではないかとのことだ。

また就活についてのアドバイスをしてくれた。
仕事について考えることは、非常に体力のいることなので、就活の時期といわず、なるべく早いうちから始めることをおすすめしていた。

自分がどういった職種に向いているかを、研究職や営業のような「失敗が当たり前の職種」か、医者やパイロットのような「成功が当たり前の職種」のどちらかを判断するところから始めた方がいいのだという。さらにそこから、どんどん職種を深ぼるのだそうだ。

高専生はエンジニアにしかなれないのではなく、技術を学んできたからこそできる営業や、コンサル、経営系の職種にもなる可能性はおおいにあるのだといい、自分の可能性を狭めずに考えることの大切さを語った。

最後にマイクロソフトの紹介をしつつ、「経験と実績が財産になる。得意なことに力を入れて、高専生活を楽しもう!」という言葉で締めくくった。

想像力と創造力があればいい

18:15 ~ 18:30
スポンサー講演③:「社会人生活を楽しむための ふたつの力」
サイオステクノロジー株式会社 上席執行役員
黒坂 肇 氏

4人目は、サイオステクノロジー株式会社の黒坂さんだ。

黒坂さんは、自身の経験をもとに、社会人生活を楽しむためのふたつの力を紹介してくれた。その力とは、「創造力」と「想像力」なのだそうだ。

そのふたつの力を伸ばすためには、とにかく経験することが大事なのだという。

黒坂さんの経験として、メイド喫茶に行ったこと、流行りのアニメのこと、大好きな釣りから影響されて、新しいアイデアが思いついた例を紹介した。

高専生は単純に分母が少なく、他の人が経験できていないようなことも経験できる立場なので、有利なのだと語った。

サイオステクノロジーでは、上司からの指示で動かずに、自分の働きの50%が先輩の役に立つこと、もう50%が何か成果を作るために動くのだという。そうすることで、ただ働くのではなく、想像しながら創造することが必要になるのだそうだ。

最後は「変革の時代です。社会も、会社も個人も変わっていきます。ぜひそんな中で「楽しむこと」を忘れずに!」というメッセージで講演を締めくくった。

自分の「好き」に素直になること

18:30 ~ 18:45
スポンサー講演④:『お仕事』と『推し事』で 加速させる高専生的成長戦略 – 前日譚 –
株式会社BearTail
坂上 晴信 氏

最後は、1日目にも登壇した株式会社BearTailの坂上さんだ。

2日目は、1日目に話した内容の前日譚である高専時代にフォーカスして講演を行った。

ゲームが作れそうだという理由から高専へと進学を決めたという坂上さん。高専二年生のころまでは、勉強も部活も楽しかったのだという。中学生の時には誰にも通じなかった、ポケモンの努力値トークが通じる友達もでき、深夜アニメにもはまり、最高の環境だと感じていたのだそうだ。

ここで、楽しいと思えることを素直に追求できると、人生は楽しく豊かになるのだと気づいたのだという。

しかし高専三年生になると、数学の線形代数でつまづき、部活でも部門長になるが、組織崩壊をおこしてしまう。周りを見渡せば、スーパーマンばかりに見えて、二年生まで持っていた自信は崩れてしまった。

ここから人生最大の暗黒期が始まったのだと語った。

そのまま五年生になるが、社会に出たくないというモチベーションだけで編入を選んだせいで、モチベーションもないまま勉強をしたのだそう。結果はもちろん不合格。つらい中、自分を支えてくれたのは、艦隊これくしょんというゲームなのだという。高専にはそのゲームを語れる同志がたくさんいて、みんなが自分を受け入れてくれたからこそ、自分の精神を保つことができたのだそうだ。

それでも自分の不安が取り除けるわけではなく、将来に対しての漠然とした不安を抱えていた。自分は何が不安なのだろうと考えたときに、外部からの評価がないことが不安なのだと気付き、プロコンに出場することを決めたそうだ。


かなり厳しい開発だったそうだが、結果は自由部門優秀賞。自分たちのものづくりで社会が良くなる体験ができた。

この経験から、暗黒期を抜け出せたのだという。

最後に、好きなことや欲求は、成果が出ない自分の心を守ってくれる存在だということ。自分のコンフォートゾーンを確保して、適切に休める場所を見つけるべきだと強く訴えた。

自信をつけるためには、とにかく外に出て、強みや改善点を把握することが大切なのだとも伝えた。

学生支援情報

ここから高専学生支援情報として、様々な企業・団体からの情報提供があった。

高専キャリア研究所の菅野さんは、高専生にぜひ入ってほしいコミュニティを紹介した。高専生限定のイベント、ビジコン、合宿など、高専生が成長できる場を提供しているコミュニティがあるとのこと。詳しくはこちらからどうぞ。

ZENPENの鈴木さんは、編入を支援する団体であることをアピールした。サイトには編入体験記が掲載されており、年二回ほど開催されているイベントでは、実際に編入を体験した学生が講演を行い、交流もできるようだ。詳しくはこちらからどうぞ。

まとめ

2日間両日とも参加しましたが、どちらも高専愛にあふれた方ばかりの講演会でした。実際に社会に出て、さらに高専の枠を超えた活動をされている方も多数いらっしゃって、様々な視点からのお話を聞くことができました。

ほぼすべての人が口にしていたのは、これからの社会は、変化のスピードが早い社会だということです。そしてそれに対応するためには、枠にとらわれず、行動し続けることが大事です。

あなたはこの講演会を通して、なにを感じましたか?

イベントの最後に、主催であるフラー株式会社の川野さんから、高専キャラバンはまだ終わらないという発表がありました。12月~1月ごろに開催予定だそうですので、公式Twitterや高専からの連絡をお見逃しなく!

今回参加できなかった人も、参加して損のない内容でしたので、ぜひ次回は覗いてみてはいかがでしょうか。


執筆:若林拓海

この記事を書いた人