進路に悩んでいる高専生にも悩んでいない高専生にも

電験や企業に関する無料のブログで、情報として世の中に価値を提供し続ける。桜庭さんの考える仕事とは。

電験(電気主任技術者)などの記事が載っている、電験合格からやりたい仕事に就くの執筆者であり、雑誌連載の仕事を持つ桜庭さん。電験とは、施設などの電気設備を保守・点検するために必要な国家資格であり、第3種から第1種まであります。

桜庭さんは仕事をしながら、2年以上も毎日ブログを投稿し続けています。毎日記事を書き、サイトを更新しているその原動力はどこから来るのか、高専時代から今に至るまでのお話を伺いました。

高専では電験に縁はなかった

ー桜庭さんが高専に進学した理由はなんですか?

地方である地元には限られた仕事しかなく、エンジニアになれば仕事の幅が広がると考えたからです。
それから私の時は、入学時に専攻を決めました。

ー電験の資格を持っているということで、高専での専攻は電気系だったのですか?

そうですね。電気を学んでいたら将来仕事に役立ちそう、価値を出しやすそうだと、高専入学時は考えました。

ーなるほど。高専ではどんな学生だったのですか?

高専時代はめちゃくちゃ勉強してましたね。私は電磁気が好きでした。レポートを書いたりしたのもよく覚えています。
でも寮で徹夜で遊んだ記憶もありますね。

ー勉強をしっかりやって、でも遊ぶときは遊ぶタイプだったのですね。卒業研究は何をされていたのですか?

卒業研究は弱電系(電子回路など)でした。

ー電験の内容に近い強電系(電気回路など)ではなかったのですね?

そうなんです。高専在学中に電験は受けたことはあったんですが、合格することは出来ず、挫折を味わいました。でも、電験は学生時代に取っておいた方がいいと思います。仕事や転職活動にかなり役立ちます。

大学編入と就職

ー桜庭さんは高専から大学編入をしたそうですが、なぜ編入を選んだのですか?

高専からの進路で、就職するか進学するか迷う人って多いと思うんですよね。私もそうだったんですよ。
高専に入学した当初は就職を考えていました。そこで私はいろんな企業に電話を掛けて質問をしました。その電話は、学科に来る求人票に載っていた会社にかけました。

ー電話をかけるという発想がすごいですね。思ったこともありませんでした。なぜ会社に電話をかけたのですか?

それは、高専卒と大卒では仕事の内容など、何が違うのかを知りたかったからです。他にも企業にOB訪問した時に、その先輩から企業に詳細を聞いておいた方がいいよ、と言われたのもありますね。

ーその電話を掛けた企業の方は、高専卒と大卒での違いを教えてくれたのですか?

はい、意外と教えてくれるんですよね。相手に直接聞くということも大事なことだと思います。
ただ、今の時代だとネット上に、高専卒と大卒での給料など、仕事の違いについて載っているのでそこから情報収拾できますね。

ー具体的に、高専卒と大卒にはどのような違いがあるのですか?

例えば、高専卒だと昇進しにくいことがあります。勿論、企業によります。高専卒を優遇しない企業だと、大卒以上と比較して、入社2年目で就くポジションが違ってきたりします。積める経験に差が出てくるということです。

そんな環境に嫌気がさして、転職を考えた時に注意しておかないといけないことがあります。企業から見た高専卒の強みとして「若くして現場で活躍できる」というところなのですが、年齢を重ねてしまうと状況は変わってきます。入社5年目くらいで、企業側にとって高専卒であるコスパの良さが無くなるので、大卒以上と比べて不利になってしまうのです。

高専卒の恩恵を大きく受けられる、いわゆる賞味期限は25才までだと感じています。そこから先は、実績、資格が大事になってきます。転職するときに高専卒だけだと苦しいということです。

企業は、履歴書で判断するので、実績で差がつけられないような環境にいる場合には少なくとも資格は持っておいた方が良いでしょう。

(参考:高専生は進学すべきか。答えは理想の将来から逆算すると見える。

編入で電気系から化学系に

ーブログに、大学編入時に電気系から環境系に転科したとあるのですが、なぜ学科を変更したのですか?

将来を考えたときに、環境問題などに関わる仕事に就くと、世の中に大きく貢献できると考えたんですよね。環境問題を解決するには、電気と化学の知識が重要だと思ったんです。だから、電気系から環境系に専門を変えました。

ー編入は転科をしやすいタイミングですね。しかし、転科した後は専門が変わるためかなり大変そうなイメージがありますが、どうでしたか?

そうですね、大学編入してから急に化学専攻になったのでたくさん勉強しました。かなり大変でしたね。でも、そのおかげで得られたこともたくさんありました。
沢山の社会人経験を振り返ってみても、編入で自分の専門の枠を広げておいたことは良いことだったと思いますね。2019年12月に転職をしたのですが専門が広いことがかなり役立ちました。自分の好きな仕事に就くことができました。

学士卒での就活

ーこれも桜庭さんのブログで読んだのですが、高専から無名大学に進学すると就活が大変なのですか?

そうなんですよね、高専卒だと就職率が100%で求人倍率もとても高いですが、無名大学の大卒での就活というのはかなり大変でした。就活で戦うということは、それこそ東大卒や旧帝大などの一流大学の卒業生と争うということなので。

ーそれはかなり大変な戦いになりそうですね。では、桜庭さんは大学院にいかずに、学士卒で就職されたのですか?

そうです。家庭の金銭面での事情もあって、進学しない選択をしました。その分、大学3年生、4年生の2年間で相当勉強しました。

学士卒で就職される方に一つ助言なのですが大学によっては、就職の学校推薦を出してもらいにくいところも存在します。大学側には院に進学してほしいという背景があるのでしょう。私の場合、かなり頼み込んで学校推薦を出してもらいました。

ー就活がかなり大変だったそうですが、どのようにして内定をもらったのですか?

内定をもらうためには、企業にアピールできる「自分だけの強み」を作ることが重要ですね。私は首席を取ったことや高専での経験などを武器に戦いました。

また、業界を徹底的に分析することもポイントだと思います。面接で業界の話をされたりしますから。

(参考:プロフィール – 電験合格からやりたい仕事に就く

毎日ブログを更新するということ

ー桜庭さんは毎日ブログを更新されていますが、どのような生活を送っておられるのですか?ブログの執筆には時間がかかると思うのですが、仕事をしながらその時間をいつ取っているのか疑問でした。

かなりキツイスケジュールで動いています。

仕事が終わってから、夜遅くに帰り、そこからブログを書いて深夜に寝て早朝に起きる生活をしています。22時に帰宅して1時まで作業して、5時に起きるというのが結構多いです。「ブログを書くこと」の優先順位を上げています。

ーその生活はかなり大変なように感じられるのですが、長期間同じことを続けるその原動力やモチベーションは、どこからきているのですか?

それは完全に自分に関わる人のためですね。勉強をしている後輩や、電験受験者のためです。

ーその気持ちだけで、何年もブログを毎日更新されていたとは驚きました。しかし、今の時代はnoteなどのように、ブログでも収益化できると思うのですが、なぜあえて無料のブログを続けているのですか?

有料会員限定といった形で収益化できてしまう今の時代だからこそ、無料で提供することに価値があると考えます。「勉強を頑張る人と一緒に頑張りたい」という思いがあって「新しい形の講師」を目指しています。

2年間続けた成果として、私の記事更新をきっかけに毎日の勉強をスタートする人も出てきてきました。ブログ記事が情報を提供するだけのツールではなくなってきています。

ー私もブログ書くので、文字を書くということは大変なことだと感じていますが、それを毎日投稿されているのが、本当にすごいです。

ありがとうございます。根性でやってます笑
継続していると文章を書くということに慣れてきます。書き続けることで、文章能力が上がるなど、自分自身のためにもなりますしね。あと私のブログが、見てくれている人の勉強などのモチベーションになっているそうなんです。
執筆することとブログの読者でのwin-winの関係ですね。

ー2年以上も、ブログを毎日更新されていたからこそ、今の読者が桜庭さんの記事の投稿をモチベーションにされているんですね。

そうかもしれません笑そして毎日ブログを更新していたからこそ、他の仕事にもつながりました。

ーそうなんですね、継続していることが評価されているのですね。ちなみに、ブログでよく書かれている電験はいつから本腰を入れ始めたのですか?

電験は就職してから始めましたね。大学では受けていませんでした。しかし、社会人になってから資格を取るのはかなり大変なので、学生のうちに資格を取っていた方が断然いいです。仕事をしながら勉強をするのは本当に大変です。

(参考:電験合格からやりたい仕事に就く「運営理念・ビジョン・バリュー」 – 電験合格からやりたい仕事に就く

高専生を優遇する会社に入ろう

ー以前、ブログで高専生は高専生を優遇する会社に入ろう、という内容を書かれていたと思うのですが、どのような意味なのでしょうか?

高専卒を大事に扱わない企業というのも存在するので、そういった企業に高専卒で就職してしまうとなかなか大変だということですね。
例えば、高専卒で働いて成果を出したとしても正当に評価されにくい。というより、そもそも高専卒では就けないポジションがあったりします。

ーでは、高専生を優遇する企業というのは、どのように見極めればいいのでしょうか?

それは、OB訪問をするしかないですね。ほかにも、高専卒の人が役職についているかどうか、というのも見極めのポイントになります。なにより、しっかりと業界や様々な企業を調査することが必要だと思います。高専に来ている求人ばかりではなく、それ以外の企業や業界でも、高専生が活躍できる場所はたくさんあります。

(参考:高専生は高専生を優遇する大企業に就職すべき【不当な扱いを受けることが往々にしてある】

現役高専生へのメッセージ

ー高専生の間にやれば良かったことなどありますか?

「ない」です。何かをやれば良かったなといった後悔はなくそのときやりたかったことを全部やりきりました。好きな分野をめちゃくちゃ勉強しましたし、新しい同好会を自分で作って先生に顧問を無理やりお願いしたりと、いろいろやってきました。

ーでは、学生の時はやりたいことをやったほうがいいということですか?

間違いなく、やりたいことは全部やった方が良いです。社会人になったら自分の時間は少なくなるので、学生のうちにやりたいことを全部やるのがいいと思います。仕事がつらい時、充実した高専生活を懐かしく思うこともあります。

ー最後に、現役高専生へのメッセージお願いします。

「自分のやりたいことを仕事にできるように努力しよう」これが私が最も後輩たちに伝えたいことです。

勉強をしたくないからといってよく考えずに進学を辞めたり、面倒だからといって何となく就職先を決めないでほしいです。会社員になるということは想像以上に自分の時間を費やすことになるんです。この言葉の重みは実際仕事をスタートしてから身に染みて感じることでしょう。(たぶん先輩たちのほとんどがそう思っています)

私は10年も我慢して好きでもない企業で仕事をしていました。かなり残業もしたので、膨大な時間を消費しました。何とか強引に方向修正して、ようやく今、自分の好きなことを見つけ、仕事をすることの喜びと楽しさを感じることができています。

もし、あなたがどの仕事に就こうか迷っているようでしたが、今一度自分とよく会話をしてみて欲しいです。自分の好きなことってなんだろう?とかどんな仕事だったら幸せかな?といった具合です。そして、できれば企業訪問をしてみて欲しいです。

高専を卒業するぐらい頑張ってきた人は本人のやる気次第で、どんな職種にも就くことができます。自分の好きなこと、やりたいことを今一度考えてみて就職先を選ぼう、探そう。これができれば、10年後のあなたはかなり笑顔で生活できていると思います。

企業があなたを選ぶんじゃないんです、あなたが企業を選ぶんです。


取材・執筆:加藤桃子
編集:若林拓海

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