進路に悩んでいる高専生にも悩んでいない高専生にも

なぜ普通の中学生が「文系高専生」を目指したのか。

山本ひかる

前回「マイナー中のマイナー。文系高専生のちょっと変わった実態に迫る。」という記事を書かせていただきました、山本ひかるです。

今回は、私が高専という珍しい学校の中でもさらに珍しい文系学科である国際ビジネス学科を知ったきっかけや、入学しようと思った理由、学校生活のお話などなど…、私自身について書かせていただければと思います。

まずは私の現状を簡単にご説明します。

富山高専に通っていますが、地元はお隣の石川県なので普段は寮で生活しています。
高専の3年を今年(2019年)の3月に修了しまして、現在は高専を1年間休学しアメリカに留学中です。

では、時系列順にお話ししていこうと思います。

高専に興味を持つきっかけになったのは学園祭

私の6歳離れた姉も富山高専の学生でした。ですが、幼いころの私は姉がそんな特殊な学校に通っていたことはまったく知りませんでした。

初めて高専を認識したのは中学1年生の秋。富山高専の学生だった姉の学園祭に行った時です。普通高校と変わらないと思っていた私ですが、高専の自由な校風に強く惹かれました。

普通の高校と比べ物にならないくらいの広い敷地、16歳から20歳までと幅広く個性の強い学生達…そして、高専の学園祭って規模が大きくて楽しいんです。今でもあのワクワクした気持ちをよく覚えています。

校舎内の学科展示を見ていると、ある学科が目に留まりました。国際ビジネス学科です。姉が商船学科だったので、商船学科と工学系の学科の存在しか知らなかった私は関心を持ちました。ですが、その時はまだ自分が入学するとは思ってもいませんでした。





中学2年生になり、家にたまたまあった市の異文化交流事業のチラシを見て「海外楽しそう!」と軽い気持ちで応募し、運良く選考に通った私は、中学2年の夏に初めての海外を経験します。イギリスのボストンで2週間のホームステイをしました。

外国語と外国人に囲まれ、初めて海外の家庭料理を食べ、見慣れないれんが造りの街並みを歩いて、何もかもがビッグサイズなスーパーマーケットで買い物をし…。
イギリスで感じたもの全てが新鮮で、毎日ドキドキ緊張しながら過ごしていました。
それと同時に、海外にいるという実感がいまいち湧かず、夢心地で気持ちが少しフワフワしていました。

「こんな短期間で、約200カ国あるうちのたったひとつの外国で、こんなにも刺激を受けるだなんて。世界は一体どれだけ広くて私の知らないことに溢れているのだろう」と感じました。自分の視野が広がるきっかけとなった大きな経験でした。

英語の面で言いますと、学校の英語の授業は得意だったのですが、本場の英語となると話は別でした。机の上で学ぶ英語と違い、ネイティブの話す英語はまったくもってわかりませんでした。言いたいことが言えない、理解したいのに理解できない、意思疎通に悩み、言語の壁にぶつかったのもこれが初めてでした。

高専祭では同好会のメンバーとお団子を売りました。

進路について考える中で、高専という選択肢

中学3年生になった私に、進路選択の時期が訪れました。

同級生は自分の学力にあった高校に進学先を決めていき、先生も私に偏差値のあった高校を勧めてくれました。そんな中、私は勉強の意味を考え始めました。高校進学の意味を考え、そして「大学受験の勉強のために3年間を使うより、もっと自分の身になることがしたい」と考えるようになりました。

そこで考え出した最良の案が高専でした。



世界をもっと近くで感じて自分の視野を広くしたい。そのために外国語を勉強したい。と当時はまだ漠然とした想いではありながらも、文系の科目を幅広く学べ、外国語に力を入れている国際ビジネス学科は、そんな私にもぴったりの選択肢でした。

その後無事に合格し、入学。寮に住みながらの高専生活が始まりました。(入学後に気づいたのですが、実は兄弟姉妹で高専生という方結構います。)

富山高専近くの海岸。友人とよく散歩をしに来ました。

高専に入学してからの日々

初めの頃は、週に1度あるたった20問の英単語テストでヒィヒィ言っていました。覚えるのが苦痛で、間違えるのが不安で、涙目になりながら必死で毎週を乗り越えていました。

国際ビジネス学科というだけありまして、英語のポテンシャルが高い学生がクラスに多く、「こんなレベルの高いところで5年間も無理や…石川帰りたい…」と何度も何度も思い、自分の至らなさを事あるごとに痛感しました。

テスト期間は特につらかったです。
科目数が多く16〜18科目のテストを捌かなければならなかったり、外国語の科目では筆記試験に加え口述試験もあったりなど、中学校では経験したことのないなかなかハードなテスト生活を経験しました。
ちなみに高専では赤点が60点未満で、最終成績がそれを下回ってしまうと単位が貰えません。これが科目によっては、 非常にキツイです。

留年率の高さの秘密はここにあるのです。普通高校では留年する生徒は1クラスに約0.3人と言われているのに対し、高専生は1クラスに約3人 (学校差あり) が留年するといわれています。入学時のクラスメイトが、卒業時には顔ぶれが変わっているなんてことも…。

グラウンドの夕焼け。きれいです。

高専ならではの「時間の余裕」からできたこと

そんな生活にも時間が経つにつれ次第に慣れていき、だんだんと余裕が持ててきます。

毎日の授業や課題、テストをこなせるようになり、自分の自由に使える時間がだんだん増えていきました。始業時間9時、授業は早い時だと2時半には終わります。

大学受験の心配をする必要もありません。進学校ではできないアルバイトもできます。クラブ活動に打ち込むも良し、勉強を極めるも良しです。地域の課外活動に積極的に参加したり、ビジネスプランコンテストやスピーチコンテストに挑戦したり、海外交流に努めたりなどなど…。

課外活動が活発で、高専生の個性が強いのは、自由な時間が多いからかなぁと感じます。

個人的には、周りの環境や視野の広さに刺激を受け、高専に入って真剣に自分の将来ややりたいこと、進みたい道について考え始めることができました。

漠然と「世界に出たい!」などではなく、もっと綿密な人生設計についてです。




専門科目を勉強し始め、自分は何が好きなのかどこに興味があるのかを考えはじめ、先輩方の姿を見て、自分はどんなキャリアを描きたいのか何者になりたいのかをみんながそれぞれ悩み始めます。

そのせいか、高専では自分の道へ歩みたい道へ進むために退学する学生も少なくはありません。

退学、と聞くと悪いイメージを抱きがちですが、私は学校を辞めるというリスクを背負いながらも自分の道に進むという、確固たる覚悟そして夢がある証拠でもあると考えます

高専はいろんな意味でフレキシブルな学校なので、本当の自分を見つけるきっかけになれるとてもいい場所だと思っています。

そうして私も休学し、今は自分も道に進むため試行錯誤を繰り返している日々です。



私のお話が少しでも皆さんの参考になれれば光栄です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


執筆:山本ひかる
編集:若林拓海

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