進路に悩んでいる高専生にも悩んでいない高専生にも

“ドロップアウトすることに不安はなかった”高専を中退しても自由に生きる。

「しんどいことで稼ぐより楽しいことで働きたい。仕事とプライベートの境目がわからなくなるぐらいに常にワクワクする人生を歩みたい」

高専を4年次で中退してアメリカの大学生になった鶴崎さん。4年次と特殊なタイミングで辞めた鶴崎さんは中退して何をしているのか、取材を行いました。

鶴崎裕太さん(ツイッター名:中卒エンジニア)
1998
48日生まれ
大阪府大阪市出身。

2014年奈良高専電気工学科に入学。4年次9月に中退。アメリカのコミュニティカレッジに正規生として留学。現在は教育系スタートアップでも活動中

Twitter(@Yuta_Tsurusaki)
note→(https://note.mu/yuta_t)

「理系の考え方を身につけることができた」高専時代

小学生の頃から理科がものすごく好きだった鶴崎さん。分野問わずモノづくりを趣味でやっていたという。最初は大阪の府立高校に通う予定だったが、たまたま学校に来た奈良高専のパンフレットを見て受験を決意した。

「高専には色々なタイプの人がいてすごく刺激をうけて価値観が広がりました。僕はコツコツ勉強するのが苦手で、特に数学だけ全然できなくてそもそも高専に向いてないタイプの人だったんです。けれど、周りに勉強ができる人が多く、そんな環境に身を置くうちに数学がそれなりにできるようになりました。理系の考え方を身につけられたり、苦手なことでも自信を持てるようになれました」

理系としての力がついてきてこのまま王道を進むだろうとみえるが、なぜ中退したのだろうか?

理系としての考え方や知識が身につく一方、2年生の途中から当時学んでいる分野に違和感を覚えはじめたという。「元々、進学を希望していて、大学では量子コンピュータについて学びたいなって考えていました。だけど、面白いなって思う反面、自分がやりたい、自分がやるべきだと本気で思うことができなかったんです。クラスが勉強する雰囲気じゃなくて編入できると思えなかったのもあるかもしれません。このまま、そこそこの大学に進学してそこそこいい企業に就職していいんだろうか。そう思うとなんだか刺激のない人生を送る気がして。もっと他に自分にできることがあるんじゃないかって。そういう考えから、高専以外の道を選んでみようと思いました」
そこで鶴崎さんは中退を決意したという。

恩師の勧めでアメリカへ

元々、中退してからは経済、エンジニアリング、ブロックチェーンなどを自分の興味に沿って自由に学べる大学、SFC(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)に行きたかったという。

しかし、当時の担任に休学届けを出しに行った際に、「アメリカはどうだ。今から行ってすぐ入学できるぞ」と言われ、ここだと思い鶴崎さんは渡米を決意した。

飛び込んだ環境で広がって見えた新しい世界

アメリカではコミュニティカレッジに進学し、コンピュータサイエンスを学ぶ傍ら、マイクロソフトで働く日本人やシリコンバレーで日本の大企業の社長の方と対談したり、プログラミング学習アプリProgateでプログラミングをしたい人に奨学金をあげるPolgateを立ち上げ、高専を辞めて1年も経たない中でとてもアクティブに動いている。


「実際に留学してアメリカという国の概念が大きく変わりました。性格、見た目、人種、何から何まで違う色んな人がいて、みんないい意味で干渉し過ぎない。アメリカからは多様性を尊重する価値観を一番学びました。服が奇抜でも歩きながら歌を歌ってても、それが個性として受け入れられる。日本人はつい、良い悪いかの二つで優劣を付けがちだけど、そうじゃなくて、まずは個性として受け入れて、その上で良いものは良い、悪いものは悪いと意見を言おう、という価値観に変わりました」

アメリカで大きく価値観が変わった鶴崎さん。アメリカでの生活についても聞いてみた。

「アメリカでの生活にも慣れて今まではスマホの言語設定を英語に変えただけで頭が痛かったのに、今では英語でググったりYouTube見たりってことが普通にできるようになったり、英語で話すときも正確さよりも伝わればいいというスタンスで気軽に英語でコミュニケーションが取れるようになりました。

それと、高専って授業や部活があって毎週のようにレポートがあって気づいたらテスト期間になって全然時間がないと思うんですよ。それに対して、アメリカでの生活は快適で大学の授業もオンラインを受けられたり、スケジュールをかなり自由に決められるので、高専時代よりも自分のやりたいことができてすごく良い環境です」

周りに流されないで自分の意思で生きてほしい

一般的に中退してドロップアウトすることには不安や後悔を感じると思う。だが、鶴崎さんはこういう。

「ドロップアウトすることに不安はなかったです。失うものは何もないと思っていました。中卒になることに後悔もしていません。それよりも、やりたいことがあるのにドロップアウトしない方がおかしいと思います。

就職できないんじゃないかという人もいると思いますが、そもそも必ずしも高専卒や大卒である必要はないと思わない?中卒でもちゃんと実力をつければ受け入れてくれるスタートアップや中小企業もあって、逆に、自分で起業することもできるのでそこまで学歴にこだわる必要はないと思います。それでも学歴がほしい人は後からでも大学に入って学べるから必要になったときに行くべきであって、何故、大学に行くのかをしっかり自分の中で理解しておかないと大学はあまり有効活用できないと思います」

進路に悩む高専生に向けてアドバイスをいただきました。

「まず、情報収集をするところから始めましょう。
例えば、自分の学科に絞るならその中から分野を決めて、その分野の本やニュースなどを調べてみるといいです。僕の場合、量子コンピュータについて調べて、日立のCMOSアニーリングチップという半導体で再現したものがあったり、最近では東大で日本初の量子コンピューターの原理ができたり、と調べてみて興味が広がったり深くなったりしました。

調べてみてそれをするにはどこの大学なら研究できるのか、どの会社に就職したらできるのかを決めていくといいと思います」

情報の集め方について教えていただいたが、鶴崎さんはただ集めるだけではダメだと言う。

「仕方ないとは思うが高専は情報が偏ってしまいます。この会社が良い、この大学が良いとか色々言われることもあると思います。それが悪いことではないし、自分にとってその選択肢が良ければそこに進めばいいと思います。しかし、それを鵜呑みにして自分の意思で動かないことが問題で、本当にやりたいことを探していく必要があります。ようするに、先生に言われたままで思考停止の人が高専生には多いと思います。自分にとって大切なことを見極めて考えられるようになってほしいです」

進路がそれなりに決まっている人ならいいが、そもそもやりたいことがない人についても考えを明らかにした。

「とはいっても、自分のやりたいことがまだわからない人もいると思います。そういう人は都会に行ったりツイッターを通じたりして色々な人やコミュニティと関わることで刺激をもらってみるといいです。高専生はツイッターをしている人は多いけど十分に活かしきれてないと思います。ツイッターは優秀なツールで、僕が今活動しているスタートアップもツイッター経由で知り合っていますし、色んな人と会えたり活動できたりするツールだから、もっと有効に使うべきだと思います。しかし、ツイッターで人と会うにもそれなりの信用がないと相手にされないし、自分で情報を発信したり活動していく習慣は必要ですね。

自分のやりたいことが見つかったけど本当に突き進んでいいのか不安だ、という人はやりたいことに一度没頭してみるといいと思います。忙しい高専生活の中で、それでもコレがやりたい!と思えるかどうかというのは、取捨選択の一つの指標なので、自分を知るための時間だと割り切って高専の勉強を疎かにしてでも面白いと思ったことには没頭してみることをオススメします。

高専生はみんな能力があると思うので肩書きに惑わされないで自分の意思を持って頑張ってほしいです」

最後に鶴崎さんの今後の活動について聞いてみました。

「正直、やりたいことは死ぬほどあります。例えば、自分でwebアプリを作ったり、Twitterでイベントを開催したり、Polgateをもっと拡大させたり。とやりたいことが増えました。とにかくやりたいことはたくさんあるので、常にワクワクする人生を歩んでいきたいです」


鶴崎さんのツイッターはこちら

Twitter(@Yuta_Tsurusaki)

note→(https://note.mu/yuta_t)

polgateの詳細はこちら(https://note.mu/bokusunny/n/nb52228b15590

Twitter@Polgateee


執筆:島田

写真提供:鶴崎

編集:坂上・鈴木・大久保

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