進路に悩んでいる高専生にも悩んでいない高専生にも

ZENPENが最高にアツい団体だということを伝えたい

皆さんはじめまして。群馬高専物質工学科卒の鈴木駿太と申します。自分は学生時代に、編入をしたい高専生を応援するためにZENPENという団体を立ち上げました。この度幸運なことに、高専マガジンの編集者の方からお声がけいただき、ZENPENについて語らせていただく機会をいただきました。本当にありがとうございます!

先に申し上げますと、現在私はZENPENのメンバーではなく、「ZENPENの活躍をこっそり影から見守るおじさん」になっています。ただ、ZENPEN立ち上げ当時の熱い思いなどは自分が一番知っていることなので、今回執筆いたしました。

現在、高専出身者による素晴らしい取り組みがあちこちで行われていますが、それに負けないくらいZENPENはアツい団体なんだよ!というのをぜひ知っていただきたいと思います。また、自分がZENPENの活動をやっていく中で、様々な気付きがありました。この記事ではそれらを各トピックごとにまとめています。高専生・編入生の皆さんの参考になれば幸いです。


自己紹介

鈴木駿太( @ShuntaSuzuki92

2013年に群馬高専物質工学科を卒業後、東京工業大学生命理工学部(現・生命理工学院)に編入学。2014年に編入学志望の高専生を支援する学生団体ZENPENを設立。大学院卒業後はバイオベンチャーに入社し研究開発に従事。現在は教育系ベンチャーでコンテンツ開発を行っている。

編入を控えた高専生向けのチェックリストを作りました!ぜひご覧ください!

編入する高専生のためのチェックリスト


ノリと勢いで企画された合同編入説明会

ZENPENのメインのコンテンツとして「合同編入説明会」があります。これは就活時の合同説明会よろしく、複数大学の編入事情を一度に知ることができるというイベントです。

特徴としては、「高専出身者の現役編入生が、高専生に向けて伝える」ということを原則としています。大学の先生などは参加しません(させません)。高専出身者によって編入のリアルな情報が知ることができると、これまで述べ1200名以上の方々に参加していただきました。

過去の開催の模様はYouTubeにアップしてありますので、ぜひご覧ください。

過去の開催の模様はYouTubeにアップしてあります

さて、この合同編入説明会ですが、元々は東京工業大学編入生会がノリと勢いで始めたものでした。

私は群馬高専から東京工業大学に2013年に編入したのですが、週に1回、東工大の編入生有志で集まって、色々と企画を練る会を開催していました。そんな折にある1人の発言がきっかけとなり、企画がスタートしました。

「編入の情報集めるの大変だったし、1度に色々な大学の情報を高専出身者から聞けたら嬉しいよね」

満場一致で「確かに〜」となり、これが全ての始まりとなった「関東八大学合同編入説明会」のキックオフとなりました。高専からの編入という同じ境遇を経験した編入生の仲間たちと、同じような経験をする後輩に向けてイベントを準備するというのは、最高にエキサイティングな時間でした。徹夜も全く苦にならなかったです。

ただ、最初は「高専生本当に来てくれるのかな…?」という不安しかありませんでした。

イベント当日スライドの1ページ目。色気の無さからデスマーチ感が垣間見える

当日を迎えました。

250名高専生が来ました。

北は旭川高専から、南は沖縄高専から、東京で開催されたこの会にわざわざ参加してくれたのです。

東工大の一番大きい教室が埋まりました

来すぎです。大パニックです。

同時に、以下のような思いが私の中にはありました。

「まじか…。どんだけ編入の情報足りてないんだろう…。」

ここで自分がいかに恵まれていたかがよくわかりました。

私は編入が盛んな群馬高専の出身で、図書館に行けば過去問は多くストックされていました。高専の先生も編入に慣れているため、それなりの情報を持ってくれています。

しかし、多くの高専は違います。

編入してさらにチャレンジをしたいと思っても、それを拒むような情報格差があります。

同じ「高専」に通っているのに、同じようなカリキュラムを経ているのに、情報が無いためにチャレンジができなくなる、チャレンジをするための素地が無くなる。

あまりにも不公平過ぎる現実を目の当たりにしました。

そしてZENPENが立ち上がります。


💡ここまでの気づき💡

  • 何事もノリと勢いで始めることが重要
  • 同じ境遇を経験している編入生と一緒に何かをやることは最高に楽しい
  • 情報格差に苦しむ高専生がいる

文科省に突撃したZENPEN初期

最初の「関東八大学合同編入会」で編入情報の格差に気づいた私は、全国規模にこの編入説明会を開催しようと考え、団体をつくることにしました。

その名も「ZENPEN」。これは「全国編入生会構想」というプロジェクトの略称です。高専生に向けて編入情報を提供することもそうですが、編入生同士の関わりも楽しいと気づいた私は、以下のような構図を夢に見ました。

ZENPENが生み出す編入のポジティブフィードバック

このためには、まず以下の再現性を確保する必要があると考えました。

  • 編入情報は全ての高専生に求められている
  • それは地域問わずに求められている
  • 編入情報交換の場を提供し続けることで、編入生の全国的なコミュニティが形成される

これらの再現性を確保するためには、お金が必要です。編入生に登壇してもらうためには遠方から来てくれる編入生のための交通費が必要です。また、場合によっては会場費用がかかることもあるでしょう。

資金繰りのために私はドブ板営業を始めます。

多くの失敗もしましたが、うまく行った例を紹介します。

ある日、私は文科省の以下の会議を傍聴することにしました。

研究室をサボって向かいました

お目当てはご存知、都城高専出身コロプラ社長の馬場さんです。

深くは語りませんが、帰り際に一緒のエレベーターに乗り込んでプレゼンをするという最高のムーブをキメて、コロプラ様(クマ財団様)に会場提供などのサポートをいただくことができました。

ガチのエレベーターピッチをした経験は私が後世に語り告げる唯一の自慢です。

こんなこともあろうかと、事前に虎ノ門駅で練習しておいて正解でした。

無事、当面の活動のベースを得ることに成功しました。

コロプラ様、クマ財団様、本当にありがとうございます!

💡ここまでの気づき💡

  • ドブ板営業ができるようになるには、明確な目的があるかどうか
  • エレベーターピッチ(10秒)の練習はしておいたほういい

高専の先輩方、編入は悪ですか?

長く活動を続けていると、応援をしてもらうこともあれば、批判のようなものを受けることもあります。一番多くあったのは、

「高専は編入のためにあるのか?」

というツッコミでした。特に年配の高専出身者の方から多くそのような意見があったように記憶しています。応援してくれていた年配の高専出身者の方もいらっしゃったので、一概にディスることはできないのですが、事実としてそのようなことがありました。

私はそのようなコメントについては一切の無視を決め込んでいました。というのも、全く論点が異なるからです。私は、「情報の格差に苦しむ高専生に貢献したい。彼らに選択肢を少しでも多く与えたい。」という一心でZENPENを運営していました。高専がどうこうという無駄に抽象度の高いことを議論するのは無意味に思っていました。

100回目の高専カンファレンスに登壇した際に使用したスライドから。ZENPENのイベントに来て、「編入やめとこ」って思ってもらえるくらい情報を提供したかった

ただ、「進路が多様で学生がのびのびとできる教育機関は、きっと最高」という思いはずっと持っていました。仮に編入がメジャーになったとしても、それが高専生の最高の選択ならそれでいいじゃん、といった具合です。最高の選択をするための選択肢が多い学校は、最高に決まっています。

ちなみに、高専機構の方々はその想いに非常に賛同してくれました。高専機構のイベント内でZENPENのプチイベントを実施したりしたこともあります。

高専機構さま、本当にありがとうございます!(準備中の写真しか無かった)

💡ここまでの気づき💡

  • 高専がどうこうを議論するより、高専生のために何ができるかを考えたほうがいい
  • 高専機構は意外と味方になってくれる

熱意は伝わっていく

2016年、自分は大学院修士2年になりました。いよいよ今後のZENPENをどうしようか考える時期がやってきました。

社会人になっても細々とZENPENを続けようかなと思っていましたが、それはやめてZENPENを潰そうと心に決めました。というのも、自分が学生で無い以上、自分は編入情報を提供する場の当事者では無くなってしまうからです。

情報を提供する側が当事者であることは、情報を受け取る側に大きな安心感を与えます。自分が社会人になって情報提供を続けていても、十分なバリューを発揮できるとは思えませんでした。だからZENPENを潰すことに決めていました。(今考えると仕組みを作る側に回るとか色々選択肢はあったと思いますが、当時の自分はその一択でした)

最後の編入説明会だと決めて臨んだ2016年秋の編入説明会、終わり際に声をかけられました。

「鈴木さん、僕もZENPENやりたいんですけど」

東大と千葉大の編入生からでした。このひと声をきっかけにZENPENは継続の道を見出すことができました。本当に感謝しかありませんし、自分も熱意を持って運営していて本当に良かったと心から思える瞬間でした。

後継見つかってテンション上がってFacebookに投稿したやつ。本当に引き継いでくれてありがとう!

💡ここまでの気づき💡

  • 熱意を持って続けることで、本当にフォロワーは増える

多様化していく高専生の進路。そしてあなたができること

これまでは、高専生の進路の選択肢としては以下のようなものがありました。

  • 本科卒で地元に就職
  • 国公立の大学に編入
  • 専攻科に進学

しかしながら、今後以下のような選択肢が増えてくるのではないかと想像しています(既に増加傾向にあるかもしれませんが)。

  • 東京のベンチャー企業に就職
  • 私立大学に編入
  • 起業
  • 途中で高専やめて大学受験

選択肢が増えることは本当に良いことです。ただ、適切に選択肢に触れる機会がないと、人間はとてつもなくモチベーションを下げてしまいます。チャレンジしようとする時に、背中を支えてくれる人がいないと挫けてしまいます。それが人間というものです。

したがってどのような進路であれ、それぞれの分野において、ちゃんと情報を提供して、そして必要であれば支えてあげる人々がいることが重要です。

今、これを読んでいる皆さん一人一人が当事者です。私は編入を目指す高専生を応援しました。あなたはどんな高専生を応援できますか?

ぜひ高専生に最高の進路選択をしてもらうために、まずは自分が経験してきたことを言語化してみてください。それが1人の高専生の人生を変えるかもしれません。

もちろんZENPENもその中の1つとして、今後もしっかり存在感示していくはずです。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。


💡ここまでの気づき💡

  • 高専出身者全員が、情報提供の当事者

寄稿:鈴木駿太

今回のテーマであるZENPENさんですが、9月21日(土)の13:00からイベントを開催されます!学生さんは無料とのことなので編入に興味のあるみなさんはぜひ以下のページを確認してみてください!

この記事を書いた人